葉隠 HAGAKURE by Daichi Soga


ショートフィルムから考えさせられること


先日、ソンべカフェでショートフィルム『田中ハッピー牧場』の上映会がありました。


この映画は6月のTTサロンに参加された Wang さんが脚本と監督をされており、杭州アジア青年映画展覧の上映作品とのこと。


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福島で酪農を営む田中。

原発事故で生活の全てを失った彼は、アメリカ政府に対し、「自分を牛と共にアメリカへ移住させ、新しい生活を始めさせてほしい」と懇願するビデオを作成する。

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30分弱のショートフィルムは、どストレートですごくシンプルな内容だった。


出演者は田中(古舘寛治)一人だけ。


しかも終始日本人が話す中学生レベルの英語でドキュメンタリー風に話が進む。


字幕がないから頭の中で若干聞き取りにくい英語を翻訳しながらストーリーを理解するからけっこう頭をつかう。


そもそも、このお話はポイントさえ掴んでいれば真面目に英語を聞き取る必要はなく、むしろ、田中が時折感情に訴える姿に心を傾けて感じることの方が重要だと思う。


それくらいシンプルだ。


ここまでくると潔くて気持ちがよくなる。


話が分かり易いだけでなくメッセージ性がとても強いため、映画を観終わった後、原発事故の影響で実際に人生を狂わされた人達の立場でこの問題について考えることができる。



だが、監督としては本当に伝えたいことはそこではないらしい。



映画の設定では、アメリカが移民受入れの選考のための自己PRビデオを応募者から募っており、その中の一つが田中のビデオだという。


実は田中と同様、ベトナムなどアジア各地でアメリカ移住の自己PRビデオを作成する映像をこれから撮影する予定なのだそう。


最終的には全ての映像をつなぎ合わせ、一つの映画になる。


つまり、このショートフィルムは映画全体の一部分に過ぎない。



そういったことから、この映画には原発を日本に売り込んだアメリカに対する皮肉が込められているとのこと。



原発事故が記憶に新しい日本人からしたら、普通は原発の被害者のことを想わずにはいられないでしょう。


このお話は映画の一部分だからやむを得ないけど、翌々考えたら原発事故で酪農ができないからアメリカに移住というストーリーはどこか強引さを感じる。


酪農を続けるためなら福島から遠い西日本でもいいよね!?


ここで違和感を感じることができれば、この映画が伝えたい本当のメッセージに辿り着けるかもしれない。


主人公は"原発事故の被害者"という設定が、3.11 を経験した日本人の感情からして監督が本当に伝えたいメッセージを結果的にカモフラージュする格好になっている。



映画を見た後はみんなで自由にお喋りタイム。


ショートフィルムの感想から間近に迫った選挙の話題まで内容は様々。


今の日本が抱えるあらゆる懸念や問題点を共有し、参加者の多種多様な意見が聞けるっていうことはとても貴重だ。


他人の意見を聞き入れることは自分にとっていい刺激になるし、何より思考の幅が広がるよね。

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